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あやふや本 No.1370

内容

・日本人のおそらく女性作家の小説です
・ジャンルはホラーとファンタジーの間くらい
・表紙は上半身が天使で下半身が人魚みたいな人?が卵を抱えているイラストだったと記憶しています
・短編集
・20年ほど前に出版されたものではないかと思っています
・黄昏時の回廊?をキリコの絵の様に輪っか転がしをする子供と語りべが遭遇する。語りべは子供が幽霊だと思っていたが、実は語りべの方が幽霊だったのだ。
・確かゲーテのイタリア旅行をモチーフにした短編。自然科学者の壮年の主人公が妻を残して南の島(シチリア島?)へ赴き、植物の観察やスケッチをする。そこに現れた痩せこけた少女。少女と交流するうち、関係を持ってしまう。その時の少女の体躯は、少女から大人の骨格へなりつつあると主人公は感じる。
・口語文で書かれた短編。主人公は「パパ」に話をしている。それは自身の親友だった白痴の少年の顛末にまつわる話だった。彼がどれ程、純粋に神を信仰していたか、自分達の環境がどれ程、荒み貧困していたか。父親の暴力等の逸話もあったはず。そして、その親友は信仰心を試してより神に愛されようという思惑から、主人公にナイフで自分の胸を刺してくれ、3日後に生き返るからと頼む。主人公は言われた通りにしたが、3日経っても親友は生き返らず、美しかった親友の遺体は腐乱し始めて、その顔が少し笑っている様に見えてくる。主人公は親友の血の付いたナイフを持ち歩き、その血を舐めて自身を鼓舞して生きる。「パパ」をナイフで突き刺すまで。「ねえ、パパ(大司教様)?」という言葉で話が締めくくられる。
・主人公は、美しいが病的に痩せて肌も乾いた女性と知り合い、関係を持つ。抱く時に彼女の体は熱くならず冷えていて、それが作中で「気持ちよかった。すっごく」と形容されている。彼女は空に浮かぶ月が今は渇いているが、主人公と交わる事で潤うのだと主張する。気がついた時には、女性の乾いた肌は潤い、体型も整い美しくなり、逆に主人公が何かを女性に吸い取られたように痩せ細って渇いていっている事に気がつく。
・男性の主人公。旅先での事。幻想的な館での饗宴や女性達との戯れ、だがそれはまやかしであり、そこに居る女性は老婆で館はぼろぼろ、帰国したら自身は肝炎までうつされて消耗した状態にある。
こう見るとホラーというよりエロ本…?との感がありますが…文体は比較的淡々としていて、男性主人公が女性や子供というファクターを通して不思議で怖い世界を体験し、何かを失って元の世界に戻る、というような雰囲気の短編集だったと思います。

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こたえ

作品のタイトル:夢魔の旅人

作者:篠田真由美

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